老婦人との約束

ずいぶん前の話になりますが一人住まいの老婦人が迷い猫を保護飼っていただくことになりました。

その女性はその当時で90歳を過ぎお元気に何不自由なく生活をされており当診療所に猫と共にいらした際色々なお話を聞く機会があり天涯孤独で波乱万丈の人生だったそうです。

大変聡明な方で私も教えていただくことばかりで薫陶を受けたように思います。

生前から彼女は私が死んだ時には一緒にこの猫も棺桶に入れてもらえないかと望まれていました。

とてもお元気でしたが残念ながら数年前に亡くなられました。その猫さん縁あってお知り合いのお家で飼われることになり遠いところからですが時々診せていただいておりました。

先日猫さんにとって致命的な病気肥大型心筋症に罹患し手当の甲斐なく亡くなりました。これで御婦人のもとに往ったかと思うとその優しい笑顔が偲ばれ約束はしなかったものの一緒になれたと想像しほっとします。

人生出会いがあれば別れもありこの一週間つくづく考えさせられます。